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RFリモコンの電波干渉対策

4.理想的な自由空間における通信距離

理想的な自由空間における電波の伝搬損失は、距離の二乗に比例して減衰し、かつ電波の波長の二乗に反比例する。この理想的な自由空間ではフリスの伝達公式(式1)が成り立つ。
フリスの伝達公式・・・(1)

一方、伝送損失は(式2)の通り規定される。
伝送損失・・・(2)

これをdB表示で表すと(式3)が得られる。
dB表示・・・(3)
実際の伝送損失はフェージング等の影響より上記損失より大きくなる。
大地の反射
送信電力(W)
送信アンテナの実行面積(m)=λ2Ga /(4π)
λ波長(m)
受信アンテナの実行面積(m)
PL伝搬損失(W)
aT送信アンテナの絶対利得
aR受信アンテナの絶対利得
e受信最大有効電力(W)
送信アンテナ高さ(m)
受信アンテナ高さ(m)
距離(m)
Δl反射波と直接波の行路長差(m)
ブレークポイント(m)

ここで大地の反射のみを考えた場合〔図1〕、フレネルの反射係数は距離がある程度離れると-1に収束するため伝搬損失は(式4)となる。
伝搬損失 ・・・・・(式4)

波数:k=2π/λ
なお、Δl>λ/2の場合(dが近距離の場合)の平均の伝搬損失は(式4)のsinの項が平均では0.5となるため(式5)で表される。
dが近距離の場合の平均伝搬損失・・・・・(式5)
更に距離 d が大きくなって Δl≪1 となると(式6)より距離の4乗に比例する。
距離の4乗に比例・・・・・(式6)

ここで、伝搬損失が、距離の2乗比例から4乗比例に変化する点をブレークポイントといい、(式7)で表される。
伝搬損失・・・・・(式7)
〔図2〕に〔条件1〕での伝搬損失特性を示す。
伝搬損失特性
【図2 伝搬損失特性】
ここで後述する、測定に使用した弊社RFモジュールにおける伝送距離を求めと、パケットエラーレート1%以下で通信するために、送受信間で許される伝送損失は、〔条件1〕より
PL=0-(-85)+(-2)+(-1)-2-3=77[dB]
 
となる。
また、周波数2.45GHzで自由空間における伝送損失の関係式は(式3)で示されるから、
20log10d[m]=PL-40.22=77-40.22=36.78
伝送損失
となる。
なお、ブレークポイントは、(式7)より db=71.5mとなるから、上記結果はブレークポイント距離以内の為、上記結果が推定通信距離と言える。
実際の家庭環境での使用においては、フェージングの影響により損失が大きくなるため、上記で求めた通信距離より短くなる。
しかし、その前提として無線干渉が発生していないことが条件となる。他の無線局と共存する2.4GHz帯ISMバンドにおいて無線局本来の通信能力を引き出すには、電波干渉対策は必須といえる。
【 条件1 】
送信機の出力:WT=0(dBm)
受信機の感度:WR=-85(dBm)---パケットエラーレート=1%
送信アンテナの利得:GT=-2(dBi)
受信アンテナの利得:GR=-1(dBi)
送信、受信アンテナ高さ:ht=hr=1(m)
受信部のアンテナとRF出力間の損失(不整合損失):2(dB)
送信部のアンテナとRF出力間の損失(不整合損失):3(dB)
周波数は2.45GHzとする。
 

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