リモコン
SMKトップ > 分類で探す > リモコントップ > リモコン技術記事一覧 > リモコン技術記事 RFリモコンの電波干渉対策4

RFリモコンの電波干渉対策

5-2 周波数上の電波干渉対策
周波数上の対策とは、他の無線システムと異なる周波数を使用することによって電波干渉を回避する方法をいい、チャネルを動的に移動しない無線LANとの電波干渉に有効である。

5-2-1 無線LANとRFリモコン(IEEE802.15.4)との電波干渉対策
無線LANが使用するチャネル構成は〔図7〕の通りであるが、無線LANのチャネルにはそれぞれ重なりがあるため、同時には3台までしか使用できない(.11bにおけるCh14を使用する場合は4台)。つまり干渉がないようにチャネルを設定しようとすると、5チャネル離れたチャネルに設定することになる。例えば無線LANのチャネルをCh1、Ch6、Ch11と設定すれば、無線LAN同士の電波干渉が発生しないことになる〔図8〕。
この場合、無線LANの各チャネルの両端は、中心付近にくらべ電波密度が低くなることから、IEEE802.15.4の無線チャネルCh15,Ch20,Ch25,Ch26を使用すれば、無線LANとの干渉が回避できることになる〔図9〕。
 空きチャネルを探すには、IEEE802.15.4のデバイスに実装されているクリアチャネル評価(CCA:clear channel assessment)を用いる。具体的にはCCAにより各チャネルの無線エネルギーを検知しながらチャネルサーチを行い目的のチャネルを探すことになる。
無線LANのチャネル構成
【図7 無線LANのチャネル構成】
無線LANの空きチャネル
【図8 無線LANの空きチャネル】
5-2-2 電子レンジとの電波干渉対策
日本における電子レンジに関する規定は電波法施行規則第46条の7に定められている。この中で占有周波数帯幅は2450MHz±50MHzと規定されていることから、少なくとも電子レンジにおける設計値の狙いは2450MHz付近と想定され、この中心周波数から離れた周波数を使用した方が有利である。殆どの電子レンジは中心周波数より、両端周波数の出力は低いと、予想されるからである。 〔図10〕は電子レンジのスペクトラムを測定した一例である。上述の傾向が読み取れる。
無線LANとの干渉を回避した様子
【図9 無線LANとの干渉を回避した様子】
電子レンジのスペクトラム
【図10 電子レンジのスペクトラム】


5-3 時間軸上の電波干渉対策
時間軸上の対策とは、電波干渉が生じた場合、一定の時間待って送信を行う方法や、再送手順を用意する方法をいい、Bluetoothとの電波干渉に有効である。

5-3-1 BluetoothとRFリモコン(IEEE802.15.4)の電波干渉の発生頻度
Bluetoothは上述した通り周波数ポッピングを行っており、使用周波数(2.4000-2.4835GHz)中を1MHzの周波数幅で、625usごとにランダムに79の通信周波数のいずれかにホッピングして通信を行う。
ここで、RFリモコンのパケット送信間隔を49.4ms(*1)とし、Payload Data(8byte)を送信したと仮定した場合に、どれくらの頻度で干渉が発生するか検討する。
BluetoothとRFリモコンの各チャネルにおける送信を時間経過のイメージで表すと〔図11〕の通りである。

(*1) 計算上の便宜のため、RFリモコンのパケット送信間隔をBluetoothの全通信周波数のホッピング時間と同じ49.4msと想定した。尚、赤外リモコンの送信間隔は、50~150ms間隔であることから短い送信間隔を想定したことになる。
BluetoothとIEEE802.15.4の電波送信イメージ
【図11 BluetoothとIEEE802.15.4の電波送信イメージ】

尚、IEEE802.15.4のパケットは、他の制御byte等をPayload Dataに付加して送信するから1パケットの全byte数は18byteとなる。また無線転送レートは250kbpsであるから(式11)より、1パケットの送信時間は576usとなる。
1パケットの送信時間・・・・・・(式11)

BluetoothとIEEE802.15.4の電波干渉
【図12 BluetoothとIEEE802.15.4の電波干渉】
IEEE802.15.4のチャネル(例えばCh11)と干渉が発生するBluetoothの通信周波数は、〔図12〕より、3つの通信周波数(2404MHz、2405MHz、2406MHz)であるから、Bluetoothが全通信周波数をホッピングする間に、RFリモコンから送信される1パケットと干渉する時間は(式12)より約2.45msとなる。


干渉が発生する時間・・・・・(式12)

 そうすると、干渉が発生する頻度は、(式13)より 4.96%となる。
干渉が発生する頻度・・・・・(式13)

リモコンの商品性から、パケットエラーレートは1%以下であることが望ましく、4.96%は高いとはいえないが、何らかの干渉対策をとった方がよい。

5-3-2 Bluetoothとの電波干渉対策
上記の結果から、再送手順を1回設けることにより、パケットエラーレートは1%以下にすることが可能である。また、CCAにより無線エネルギーを検知し、送信を開始すればさらに頻度を下げることができる。

5-3-3 電子レンジとの電波干渉対策
インバータ式電子レンジの電磁波を調査すると、〔図13〕の通り絶えず電磁波出力をしている訳ではない。
電子レンジの出力スペクトラム
【図13 電子レンジの出力スペクトラム】
一例として、今回の測定に使用した電子レンジでは、周期的に「電磁波on時間:6.283ms」と「電磁波off時間:3.792ms」が繰り返されている。
  この場合、無線パケットを短くし伝送することにより、干渉の可能性が下がる。
 例えば、測定で使用した電子レンジ使用中に、1パケット576usの伝送を行うと、干渉する頻度は、68.1%になる。このため、CCAにより無線エネルギーを検知し無線送信を行うことで、送信確率の向上が期待できる。ただし、電子レンジによって出力周期が異なるため、CCA起動周期と一致しないように、ランダムに起動させる仕組みが必要となる。

 

5ページ中 1ページ目

前のページ| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 次のページ


  • お問い合わせ
  • 技術用語集
  • リモコン技術情報